
世界的なサイバー攻撃の激増で、サプライチェーンのセキュリティリスクが、もはや他人事ではなくなってきています。
攻撃者は直接のターゲットである大企業を狙うより、対策の手薄な中小企業や委託先の弱点を突き、そこから連鎖的に侵入する手法を常用していいます。
今回のコラムでは、経済産業省がサプライチェーン全体のセキュリティ基盤を底上げし、評価を見える化する新制度の構築を進めていることについて解説します。
制度とは何か:評価の目盛りと構造
「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」は、サプライチェーンに関わる企業のセキュリティ対策を共通基準で評価・可視化する枠組みで、2026年度中の運用開始を目指してワーキンググループで検討が進んでいます。
主なポイントは以下のとおりです。
☆3~☆5の段階評価(評価方法は自己評価?第三者評価の組合せ)
★3:最低限実装すべき基本的なセキュリティ対策
★4:標準的に求められる対策
★5:高度かつリスクベースの対策
評価の可視化
企業は自社の対策レベルを★付き評価で示すことができ、取引先(発注企業)はこの評価を基に対策状況を判断できるようになります。
なぜこの制度が必要なのか
従来、発注企業は独自のチェックリスト等で取引先の対策状況を確認していたが、
・尋ねる側と答える側で基準がバラバラ
・回答作成に大きな負荷
・判断基準が曖昧で不信感につながる
といった課題が常態化していました。
そこで統一された評価の目盛りを用意することで、
・対策水準の比較が容易
・取引先間のコミュニケーションコスト低減
・不要な要求や過剰対策の回避
といった効果が期待されています。
中小企業へのインパクト:リスクとチャンス
制度が動き出すと、中小企業もこの評価を受ける機会がぐっと増えてきます。
リスク面
評価が低いと取引停止や契約条件の不利化につながる可能性あり
専門人材や予算が限られる中小企業にとって、具体的な対策実装が負担になる場合もあり
チャンス面
客観的な信頼の目盛りが取引先の信頼獲得に寄与する
高評価を得ることでビジネス機会の拡大や競争力強化が可能
この制度は単なるチェックリストではなく、共通認識の土台づくりです。いまのうちから準備し、評価に向けたプロセスを社内に根付かせることが求められることでしょう。
実務者の視点:今から取り組むべきこと
この制度への取り組みはサプライチェーン全体の体力づくりとも言えます。
自社の現状把握(ギャップ分析)
評価基準案の理解(★3/★4要求事項)
SECURITY ACTIONの活用
評価に向けた体制整備と証拠管理の仕組み化
といった基本が不可欠となります。
この評価制度は、サイバーセキュリティをやらなければならない義務から、「信頼を示す共通言語」へと昇華する可能性を秘めています。
サプライチェーンが断絶しないように、一本一本のリングを強化していくことが、企業の継続性と経済の底力につながります。
結論:サプライチェーンリスクは自社のリスク!
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