私事ですが、数か月前に叔母を亡くしました。叔母は生涯独身で子どももおらず、ひっそりと独りで生涯を終えました。
遺産の相続などの手続きを進める中で、遺されたデジタルデータやソーシャルメディアなどの管理について考えさせられることがありましたので、今回はデジタル遺産について解説します。
デジタル遺産とは、個人が亡くなった後に残るオンライン上のデータやアカウントの総称のことを言います。ソーシャルメディアのアカウントやクラウドストレージに保存されたデータ、電子メール、ネットバンクの情報など、現代では多くの重要な情報がデジタル空間に存在します。これらを放置すると、不正アクセスや情報漏洩のリスクが高まり、遺族や友人にとって予期せぬトラブルを招くことがあります。
デジタル遺産管理の重要性
情報セキュリティの観点からも、デジタル遺産の管理は重要です。亡くなった後にアカウントが第三者に悪用されると、なりすましや不正取引が行われる危険性があります。また、故人のアカウントに届く通知やメッセージが家族に心理的な負担を与えることも少なくありません。これらのリスクを未然に防ぐためにも、事前の準備が求められます。
主なデジタルサービスの対応策
1. Facebook
Facebookでは「レガシーコンタクト」と呼ばれる設定が可能です。これにより、信頼できる人を指定し、亡くなった後にアカウントを追悼モードに変更したり、特定の操作を許可することができます。また、生前の段階でアカウント削除を希望する設定も用意されています。
2. Instagram
Instagramでは遺族や友人が死亡を証明する書類を提出することでアカウントを追悼モードにできます。しかし、ユーザー自身が事前に削除を指定する機能は提供されていません。
3. Google
Googleの「非アクティブアカウント管理機能」では、一定期間アカウントが使用されなかった場合に、指定した連絡先へ通知し、データを引き継ぐことが可能です。その後、アカウントを削除する設定も選べます。
4. その他のサービス
Microsoft、Apple、PayPal、X(旧Twitter)などのサービスもそれぞれ独自のポリシーを提供しています。例えば、Apple IDは故人の承継手続きが必要で、特定の条件を満たすことで遺族がアクセス可能になります。各サービスの公式サポートページを確認し、適切な手続きを事前に設定することが重要です。
デジタル遺産の具体的な管理方法
リスト化:すべてのアカウントやパスワード、契約しているオンラインサービスをリスト化します。
家族や信頼できる人に共有:遺言やエンディングノートに、デジタル遺産について明記することを検討しましょう。
サービスごとの設定:各サービスで提供されている死後のアカウント管理機能を活用します。
専門家に相談:弁護士やデジタル遺産管理を専門とするサービスを利用するのも一つの方法です。
デジタル遺産の管理は、従来の財産管理とは異なり、法律や技術の進展に応じた対応が必要です。日本では、デジタル遺産に関する法整備はまだ十分ではなく、事前の個人的な対応が求められます。特にSNSやクラウドストレージは、個人の思い出や重要な情報が多く含まれるため、その取り扱いには慎重さが必要です。
デジタル遺産の管理は、家族や友人の負担を軽減するだけでなく、情報漏洩や不正利用を防ぐための重要な対策です。オンラインサービスごとの設定を確認し、生前のうちに適切な準備を行うことで、安心してデジタル社会を活用することができます。自身のデジタル遺産を守ることは、未来への大切な責任と言えるでしょう。
結論:デジタル遺産は未来のリスク。適切な管理を!
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